この魚は福井県の耳川で釣れた、野生化したニジマスである。
最近、このニジマスが話題になっている。
「シャケ弁当」や「シャケ茶漬け」に使われる事もある「サーモントラウト」は、標準和名「ニジマス」を海水で育てたものであり、景品表示法上問題ありと指摘されているのである。
追記:2014.03.28
消費者庁は本日、景品表示法違反の恐れがあるメニュー表示のガイドラインを発表。この中で、ニジマスを海で養殖した「サーモントラウト」は、味や肉質から広くサケとして定着しており「サケ弁当」や「サケ茶漬け」と表示しても問題はないとしました。
ニジマスという魚は、子供相手の手づかみ用の魚に選ばれ、スーパーマーケットではラッピングされて、安価で売られている。「マス釣り場」では、尾びれの丸いニジマスが簡単に釣れる。
このように一般的にはあまりぱっとしない印象の魚である。
しかしこのニジマス、ひとたび野生すると釣りの対象として極めて魅力的な魚となる。針がかりした途端、飛んだり跳ねたりつっ走ったりして、釣り人の頭の中を真っ白にしてしまうのである。
そもそもフライフッシングは、英国で野生のニジマスを相手に発展してきたものである。
このニジマス、降海するものは「スチールヘッド」と呼ばれ、野生のニジマスのパワーに海域で育った筋力が加わり、魅せられた釣り人の頭を鋼鉄のように固くしてしまうとの事だ。つまり「スチールヘッド」以外は見えなくなってしまい、家庭を捨てまで追い続ける釣り人も居るらしい。
日本においては、大正以降おびただしい量が河川に放流されているが、北海道以外では自然繁殖しているという報告が、ほとんど無い。
そのニジマスが唯一自然繁殖している北海道で、事もあろうかこのニジマスが「指定外来種」の候補に上がっており、北海道内外の釣り人の間で物議をかもしている。
このように人間に翻弄され、かつ人間を翻弄し続ける魚は、ニジマスを置いて外には居ないだろう。