「男おひとりさま道」を読み終えて

正月休みに上野千鶴子氏の「男おひとりさま道」を読んだ。
ベストセラーとなった同氏の「おひとりさまの老後」の男性版である。
予想どおり、男おひとりさまの道は、女性のそれよりも厳しい。
氏はその原因を、男性の「弱さの情報開示力」の無さにあると指摘する。
つまり男には「弱さを認める事が出来ない弱さ」があり、これが一人で生きていく際、大きな足かせとなる。
人生の下り坂の局面では、人に頼る事が必須であり、そのためには素直に自分の弱さを認め、開示する力が必要であるという指摘は、納得出来る。

最もショッキングだったのは、「介護虐待」に関する記述である。
「非婚シングルの息子は、いずれ介護要員となる」
この事自体は自然の成り行きであるが、「高齢者虐待の加害者のトップは、実の息子である」という調査結果があるらしい。
これらの息子たちは親の年金パラサイトで有ることが多い。親を大切にしそうなものであるが、そう若くない息子も孤立しており、追いつめられて余裕が無くなるそうである。

僕なりに一言でまとめると、男がひとりで生き抜くのに最も重要なのは、「弱さの情報開示」が出来る、仕事以外の人脈を作っておくことである。
そのためには、
「学歴・前歴・家族の事を言わない。訊かない」
「上から目線でものを言わない」
「金の貸し借りはしない」
「特技やノウハウは、相手が要求した時のみにだけ発揮する」
という事を心がける必要がある。

僕は生来体力に自信が無く、その為か男性が好むパワーゲームへの関心が薄い。
この事は決して自慢出来る事ではないと思っている。
しかし人生の下り坂の局面では、もしかしたら強みになるかも、と思えて来た。
この本を読んで楽天的な気分になれたのは、唯一この点である。

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