salyu礼賛


3年ぶりに小林武史プロデュースでAndroid & Human Being 初回盤 (2CD)を発表した歌姫salyu

一方そのsalyuが2011年より“CORNELIUS”の小山田圭吾と組んで、とんでもない音楽を創作していた事を知らなかったのは、僕にとっては痛恨の極みであった。

salyuは小林武史プロデュースでの活動と並行して、salyu x salyu(サリュー・バイ・サリュー)名義で、小林武史プロデュースとは全く異なる極めてクールな音楽を、小山田圭吾の協力を得て生み出している。
冒頭のビデオは、そのライブパフォーマンスの一部である。

ここ1週間程4年間の不覚を挽回すべく、salyu x salyu名義の作品を傾聴したり、情報収集にあたった。

そもそもの始まりは、salyu自身が「クロッシング・ハーモニー」という音楽理論を実践してみたいとの思いから、小山田圭吾に協力を仰いだのがきっかけらしい。
「クロッシング・ハーモニー」とは、salyu自身の言葉によると、

五線譜上でもいいし、ピアノの鍵盤でもいいんですけど、とても近い、隣り合わせにある音を一緒に鳴らすと普通は不協和音になるんです。でも、それを人間の声で鳴らしてみると、甘美なハーモニーになるっていう考え方であり、その事実ですね。

CINRA.NETインタビューより)
という事らしい。

これを最初読んだ時は「ふーん」という感じだったが、アルバムs(o)un(d)beamsを聴くと、すぐに「これか!」と解った。

ふつうハーモニーというのは「ドミソ」に代表されるように、3度の音程差が基本である。
対して「クロッシング・ハーモニー」は2度の音程差の和声である。
具体的には「ドレミ」のような和声であり、それから言うと理論的には、1オクターブ内に8音まで音を重ねる事が可能、という事になる。

この理論をsalyuが実践するには、当然多重録音が必須であり、アルバム「s(o)un(d)beams」の歌声は彼女による多重録音で構成されている。

この多重録音による試みだけでも充分にクールであるが、こともあろうか、これをライブ(s(o)un(d)beams+)でやってしまったのである。

ポイントであるコーラスを担当したのは、このライブの為にsalyu自身が人選した”salyu x salyu sisters”。
salyuがかつて所属していた合唱団の仲間3人が、職を辞して参加し、この挑戦的な実験を成功に導いた。

最後にこのライブからもう1曲「奴隷」を
この曲のコーラスは「クロッシング・ハーモニー」のオンパレードで、「ド」から始まって「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ」「ド」までの8音を次々に重ねている所は、まさに圧巻!!

 

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