「55歳からのハローライフ」を読んで
|村上龍の55歳からのハローライフを読みました。
結論からいうと、とても良い小説だと思いました。
書物はよく読む方ですが、解説書やノンフィクションばかりで、「小説」を読むのは、たぶん10年ぶり位になると思います。
タイトルから解るように、60歳前後の人たちのお話です。
五つの中編小説が収められていますが、そこら辺に居そうな男女が主人公の、どこにでもありそうなお話しです。
従って、内容は大変地味であります。
しかも五つのお話とも、エンディングは決してハッピーなものではないです。
しかし、どのお話も読み終わった後、ほのかな救いを感じる事が出来ます。
現代に生きるこの世代の人たちの、ささやかな再挑戦への希望を感じます。
五つのお話にストーリー上の繋がりはありません。
しかし五人の主人公はすべて、それぞれが特定の「飲み物」に、強いこだわりを持っています。
紅茶、おいしい水、コーヒー、プーアル茶、日本茶をこよなく愛す平凡な主人公たち。全てノンアルコールであるところが、この小説を象徴しています。
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