僕の釣りスタイル
|渓流が禁漁期に入り、既に1ヶ月が過ぎた。
そろそろ川が恋しくなってきた今日この頃である。
フライフィッシングを初めて20年以上の歳月が流れた。
フライフィッシングは「1匹の魚を、如何に楽しんで釣るか」を考え抜かれた釣りである。
本質が「釣果の最大化」ではなく、「楽しみの最大化」に置かれている。
この事は、この釣り方が「漁」の手法として採用された事がない所からも理解出来る。
「釣果」は比較が可能であるが、「楽しみ方」となれば、人それぞれである。
この釣りに入門して間もない頃、諸先輩方のアドバイスがそれぞれ180度違うのには、随分悩まされた。
この釣りの本質が解ってきた今は、それも納得出来る。
こういう釣りなので長く続けていると、よく言えば個性的、悪く言えば偏った釣り人になっていく。
他ならぬこの僕も、以下に述べるように、極めて偏った釣り人になってきた。
安曇川、命です。
シーズン中の週末はほとんど川辺にいるが、
ここ2年間、滋賀県の安曇川以外には行ってない。
安曇川に並々ならぬ愛着があると言えばそれまでであるが、
理由は他にもある。
一つは、魚の付き場を知っているからである。フライマンが求める天然に近い綺麗な魚は、極めて少ない時代である。その川独自の付き場を知っていなければ、決して良い釣りは出来ない。
安曇川にも一見好ポイントであるが、全く魚が付かないポイントが数多くある。
このような状況なので、有名河川に遠征しても、良い思いをした事がほとんど無い。
また、安曇川流域には20年以上通い詰めているので、馴染みのお店や友人が自宅周辺よりも遥かに多い。
また、湧き水やお酒、古代米、地元の健康茶等、安曇川流域の物産への依存度も高い。
従って、釣りが出来ない状況でも、結構楽しめる。
ウェーダー、履きません。
腰または胸まであるウェーダーは、フライフィッシングを象徴するアイテムである。
しかしここ2年間、シーズンを通して膝までのニーブーツを愛用しており、ウェーダーは1度も履いてない。
フライフィッシングは環境にやさしい釣りである。
従って、むやみに川に立ち込む事は慎まなくてはならない・・・
というのは表向きで、単にウェーダーのメンテが面倒なだけである。
フエルト底のシューズはなかなか乾かんし、大変なのです。ウェーダー履くと帰ってからが・・・
また、安曇川ばかり通っているので、「この水量なら、ニーブーツで〜まで行ける」という、妙な自信が付いて来ている。
事実、水没したことは一度もない。
釣り場に着いてから釣り始めるのが速いというのも、大きなメリットだ。当然、帰り支度も速い。
ニーブーツでの釣り、やめられません。
ティペット、短いです。
ここ何十年、日本における渓流のフライフィッシングの主流は、長いハリスを使用するロング・ティペットシステムの釣りである。
このシステムの教祖、岩井渓一郎大明神の神通力は、未だ健在である。
リーダーとティペット(ハリス)を合わせると、ロッドの2倍ほどにもなるこのシステムは、確かにフライを自然にを流すのには有効である。
入門者は、最初からこの超長いのティペットに慣れる事を薦められる。
タックルに関しても、この長いティペットを使いこなす事を中心に選ばれる。
ロッドは柔らかさを競い、フライはキャスト中に回転しない事が必須条件となる。
僕もその方向で一生懸命精進しましたが、10年前に諦めました。
いかにタックルをロング・ティペットに最適化しても、
ロング・ティペットを「快適に」使いこなすには、相当の技術が必要である。
ロング・ティペットはなかなか思うように扱えず、ライントラブルが多い。
その為「不快な」思いをする事が多い。
ストレスが溜まっては、何のためにこの釣りをしているのか解らない。
僕は短いティペットでも、ベリー(ラインの、フライとロッドとの中間部)を落とさず、より直線的にキャストする事により、自然にフライを流す事を目指した。
短いティペットで、フライとラインの着水の時間差を少なくすると、違う世界が見えて来た。
ライントラブルが激減し、キャスティングがとても楽しくなった。
ロッドもファーストアクションのものに変えた。
特にSage社のロッドは、なぜかベリーが落ちにくいのでお気に入りです。
よって、僕のリーダーシステムはティペット込みで10feetそこそこです。
「10 feet photogallery」という、釣り・安曇川関連の写真サイトを運営していますが、この「10 feet 」とは、そういう意味です。
他にも、ドライフライは2種類しか使わないとか、変に偏っている所が多い。
渓流魚が激減し、仲間達は海や湖の釣りへと軸足を移してきている。
しかし僕は坊主が続いても、安曇川に通い続けるだろう。
滋賀県安曇川流域で、緑地に赤いラインが入った、趣味のわるーいニーブーツ(メーカー廃版で、こんなんしか無かった)を履いているおっさんを見かけたら、それは僕です。
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